久保木修己詩集より(抜粋)   もっと見る⇒

あたたかき涙     久保木修己

愛し得ざる暗魂は紛争の悲劇を演じ
汗し得ざる病魂は荒息の悪風を生む
人は今全て大政治家の奪起を願い
世はあげて大宗教家の出現を求めたり

愛の統一      

聞け 怒濤の雄叫びを闇の歴史に 悩みたる
嘆きの民が 求め来し解放 自由の旗高く
ああ 願いは愛の統一世界

見よ 雄壮な旗並みを輝く希望に胸躍り
集える我等 火と燃えて団結 勝利 限りなく
ああ 願いは愛の統一世界

起て 万国の同胞よ熱と力と涙もて
道ははるかに遠くとも救国救世 たゆみなく
ああ 願いは愛の統一世界

  ピアノ オーケストラ  合唱

  

愛は立ち上がった  

善なる人間を殺し貧しい人を搾取し病める者を棄て詐欺と戦争と賭博とを追いあさる
人間の悪なる諸々の精神があった

このようなものたちの死の上に地獄はつくられ地獄の権勢はさらに地獄の権勢を拡張し
真理と生命と愛はふみにじられ偶像と虚偽は道を誇った
しかし、このような中にあって愛は死ななかった

 白頭山と漢拏山 東海と西海の間に位置した
白ぃ無窮花の島で永遠なる神の愛は立ち上がった
今日 この日に進撃をなすべき秋(とき)なり。

富士は燃えた   

富士は暗かった
その暗闇の中で、希望に胸ふくらませる若者達の
瞳がきらりと光った

この国を支え来た多くの祖先達
この国を愛して来た多くの同胞(はらから)たちが
この山を仰ぎ、この頂に登ったことだろう
然しその誰よりも彼等の瞳は美しかった

 神が愛したこの美しき祖国
だから愛さなければならない

神が汝等と呼びかけ求めたはらから達
だから私も尋ねて行こう

神が歩いて足跡を残したこの山河
だから私も歩いて行くのだ

どこ迄も続くこの道
ふりかえると富士はそこにあった

いつまでもそこにあった
そして若者達の歩く限り

その心から富士は永久に消えなかった